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ランチャデルタ【Lancia Delta】夢は成層圏を越えて・・・第二幕

「松よぉ」

私を“松”と呼ぶYは四つ年上の先輩。

ストラトスのときにも登場した無類のラリー好きで、

彼自身も実際競技に参加していたことのある【グラベル オタク】なのである。

「松よぉお前ならどうする?」

「なにをですか?」

「なにをってクルマさ、クルマ!」

「クルマがどうしたんですか?」

「自分が長い間夢みていたクルマがある日突然目の前に現れたらどうする?」

「え~ストラトスですか!」

いやもうちょっと下かな・・・」

「じゃニッコラとムートンがドライブしたあのアウディクワトロS1♪

「もうちょっと・・・」

「A110、ランチャ037あとは・・・・・131ラリーそれと・・・」

「お前わざと外してるやろ!おい」

「ばれました♪デルタの出物があったんですか?」

「おお!それも鈴鹿や!」

「近いですね」

「というわけで明日8時に出発や!」

もとより先輩方で私の都合なんて気にするような器の小さい人はいない。


ボッボッボッ

8時きっかりに妙な音のADバンがやってきた。

さすがラリーやってただけに時間には正確。

ひとしきりカミさんと“トイレットペーパー”のことで盛り上がっていた。


「なんだこの二人・・・」


「行くぞ!」

出発。

鈴鹿なら国道でも30分高速なら15分ほどの距離。

なんせグラベル マニアそんな楽はさせてくれない・・・

シルバーで変に車高が下がった野太い排気音のADバンは山道へ・・・・・やっぱり

「バタネンがよ・・トイボネンがさあ・・・マキネンよりもだなぁ・・・」

私がトイレに行きたくてちびりそうになって飛ばしているよりもずっと早いスピードで、

砂利の浮いた未舗装路をADバンが横向きになって飛んでいく、飛んでいく・・・

外の景色がいろんな方向にすごいスピードで流れていく・・・けど不思議と怖くない。

横を向いていても余裕があるし操作がゆったりしていて確実。

【こいつ上手いな】

と思った次の瞬間右コナーで大きなギャップを拾ってクルマは杉林へ突撃!

「うわ~おたすけ~」

幸い杉林手前の土手に突っ込んでセーフ!

二人がかりで30分かけて土手から引っ張り出すとグリルもご自慢のシビエのフォグランプもぐちゃぐちゃ。

走りだしたらどうやらフロントのアライメントが狂ったらしく左へ左へと行きたがる。

「あかんわハンドルが取られて早く走れんわ」

「早く走らんでええわ!」

予定より1時間遅れて鈴鹿に到着。やれやれ

オーナーのKさんは遅れた平身低頭のバカ二人にニコニコ顔で缶コーヒーをご馳走してくださった。

ほろ苦く冷たいコーヒーを飲みながら生きている幸せを噛み締めていると・・・

Kさんもラリー好き(デルタのオーナーだから当然か)のようで、

二人はすでに物凄く盛り上がっていた。

「まあ見てください♪」

自宅横の車庫というか“納屋”に案内された。

納屋の奥に鎮座ましますデルタはお世辞にも綺麗とは言えない代物だった・・・

ボルドーに近い濃い赤の外装は艶が無くクリアも所々剥がれ“お約束の古いイタ車”の佇まい。

「見た目はしょぼいけどエンジンはバッチリやで!」

自信満々のKさんの期待を見事に裏切りセルは回れどエンジンが目覚める気配は無く・・・

「おかしいなぁ先月はかかったんやけど・・・」

先輩はというとKさんの言い訳も耳に入らない様子ただ潤んだ目でデルタを見ていた・・・

【まずい!こりゃ買うな!】



雨も降り出しアライメントも狂っちゃてるので大人しく下道で帰ることになった。ホッ♪

昼飯を食べてないことに気がつき途中のコンビニで“おにぎり”頬ばりながら・・・

「あのデルタ買うかと思ったわ」

と聞いてみた。

先輩がADバンのグリルに詰ったドロを指でかき出しながら・・・

「アホあんなエンジンもかからんデルタ買うかい!」

「今日は元々どうでもええんや、程度が悪いのは最初から分かっとったからな」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「本命は京都よ!それに伊賀から京都に抜けるええ山道があるんよ♪
今日はバンやったからミスッたけど次は“ランタボ”出すでな♪」


「乞うご期待や♪」




「第三幕があるんかい・・・・・・・・・・・・・トホホ」

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BMW2000CS

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Triumph TR3【トライアンフ TR3】

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アルファロメオ159【Aifa Romeo 159】

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すぐ近くを23号線が通っています。

この当たりでは一番交通量の多い名古屋から四日市・津に抜ける大動脈。

それだけに些細なことですぐ渋滞する。

その日も朝から何かあったようでまったく流れる気配なし。

すると辛抱たまらんようになった他府県ナンバーが脇道にどっと溢れる。

すれ違いもままならない狭い家の前の道に車・車・車・車・車・車・車・車・車・車・車・車・車

あ~ぁ

「こりゃクルマ出ぇへんわ」

「ちょうどええわ。お風呂洗って♪」

「えっ仕事は?」

「どうせ動けんのやろお天気いいし。お風呂洗って換気扇洗ってお休み~♪」

「やれやれ・・・」

歩いて近くのホームセンターへ“カビキラーとブラシ”を買いに行く・・・

帰ってきたら行く前に止まっていた黒い159がまだ家の前にいた。

ばつが悪そうなドライバー。

年の頃なら40後半髪は短く刈り上げグレーのスーツにボストンスタイルのメガネ。

こっちも決まりが悪いので軽く会釈。

ドラバーの顔が右に、視線の先にはご近所の“天敵”我家のミニとビートルが・・・

「あなたのクルマ?」

「そうです」

目で会話。

口元がほころぶドライバー。

話しかけようと思ったとたんカミさんが・・・

「カビキラーあった?」

「あったよ」

車列が動きだした。

タイミングを逃がし会話することもなく走り去っていくマニュアルの黒い159・・・

【あ~クルマの話ししたかったなぁ159かっこいいな】



「いまさぁ家の前にアルファロメオがとまっててさぁそれでさ・・・」

「そんなんいいからお昼までに終わってよ」





「はいはい・・・・・・・」













シトロエン2CV【Citroen 2CV】駄目なくらいが丁度いい♪

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「師匠やっと鼻が楽になってきました♪」

「そうかよかったな。ところで最近クルマの話が出んな?」

「花粉のシーズンは脳みそが鼻水と一緒に流れ出て頭の中カラッポです。
それに膝を悪してハスラーに乗るようになってからなんだかクルマに興味が無くなっていくような・・・」

「ハスラーになんか問題あるんか?」

「いやその逆でコレといった不満もないですが、といって取り立てて言うほどのことも無く・・・
カタチも嫌いじゃないですし、軽にしてはマニュアルってこともあってまあまあ走りますし、
私が言うと笑われるかもですが燃費もいいし。うわ言うてもた♪」

「つまり可もなく不可もなく腹八分目ということか」

「ストレスが無い代わり刺激もないから眠くなります。そら衝突防止装置いりますわ」

「クルマがよーなったばっかりに興味も無くなって居眠りか・・・皮肉な話しやな。」

「2CVは眠くなりませんもんね」

「あれで居眠りしようもんなら目が覚めたときには六文握って川岸に立っとることになるな」

「そういえばもう長いですけど2CVの好きなところ聞いてなかったですね」

「だめなところばっかやけど古女房と同じや、
顔見るだけで腹が立つけどワシが面倒みてやらんとな」


「私には師匠が奥さんと2CVの手の平の上で転がさせてるように見えますけど」

「それにクルマも女の子もちょっと駄目のほうが可愛いと思わんか?」

「思います!」

















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松岡信男

Author:松岡信男

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