フィアットX1/9【W氏の初恋その2】

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恋をしましょう恋をして浮いた浮いたで暮しましょう♪

今じゃ車に恋するなんてどうかしていると思われそうですが、

まだまだ日本車がもう一つ垢抜けていない1980年代。

イタリアやフランス、ヨーロッパのクルマ達は“小股の切れ上がった”いい女揃いで

いたいけなおじさんたちなんかイチコロですわ。


ラストオーダーの声がかかるころやっとWさんの口から惚れた彼女の名前が・・・・・

「エックス ワン ナイン」

酔いも手伝ってか本当に女性の名前のように嬉しそうに・・・・・

一旦名前を白状してしまったあとは彼女の素晴らしさを堰を切ったように歌う歌う・・・・。

「X1/9・・・・・」

師匠の苦虫を噛み潰したような顔の意味をWさんは後に身をもって知ることになるとは・・・


さんざん飲んだ2週後の休みスタジオから近い輸入車ディーラーへ噂の“彼女”を見に行った。

メルセデス、BMW、ルノー、プジョー、シトロエン、フィアット憧れのオンパレードもう鼻血が出そうである。

その中でも一際目だった真っ赤な“X1/9”

マルチェロ・ガンディーニの前作ストラトスほど未来的でも宇宙的でもないが

均整のとれた低く美しいプロポーション。


この車で市内を流しながら淀んだ名古屋の空を見上げたらそこに広がるのは・・・

高く青いモナコの澄んだ空・・・


おまけにスパイダー。

国産車それもスバルしか乗ったことのないWさんには眩しすぎる存在。

心奪われるのは当然だった。

盛り上がる二人をよそに冷静に彼女を見て回る師匠。

「これは止めたほうがいいな」


結局師匠の忠告を聞かずX1/9はWさんのところへお嫁にきました。


雨漏り、オイル漏れは標準装備。

冷却水漏れ原因不明のエンジン不調に始まって、

スイッチ類の接触不良、メーターパネル脱落、タイミングベルト断裂・・・・


昔から悪魔は絶世の美女に姿を変えて人を惑わすといいます。

X1/9はWさんの愛と財布の中身をどんどん蝕んでいきました・・・・・・


撮影も終わり二季節過ぎたころ。


郊外のイタリアレストランで彼女(人間の)と一緒のWさんに会いました。

「この前の撮影のときはありがとうございました、彼女あっいやX1/9は元気ですか?」

「いやこちらこそ。

X1/9は手放しました、いや~えらい目にあいましたイタ車はもうこりごりです」

「次の撮影お願いしますね」

「年明けでしたね了解です」

にこにこ顔の彼女と手を振りながらWさんは駐車場の青い車に向かって歩いていきました。

青い“ルノー5ターボ”に向かって・・・・・


その後仕事が変わってしまいWさんに会うこともなくなってしまいましたが、

Wさんはどうしているのでしょう・・・・
















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