2CV【師匠の決断その2】

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その後、

結局2CVは師匠の手元を離れることなく無事元の鞘へおさまることとなった。

師匠が2CVを手放すことが公になって師匠の身体を気遣う者や、

2CVの動向が気になる者達で一時騒然となっていたころ・・・

「2CV売るのやめ!」

師匠のこの一言で争奪戦の様相を呈していた“おめでたい面々”の熱は一気に冷めた。

体調もすっかり回復した師匠は、

持参した“エビス プレミアム ブラック”のタブを引き上げながらこう話始めた・・・・

「わし骨董品好きやろ、あるリサイクルショップで古い万年筆見つけたんや・・・・」

「それがそもそものの間違いやったかもしれんのや・・・・」

私も“エビス プレミアム ブラック”が飲みたかったが師匠が進めてくれないので、

自前の“キリンのどごし生”を開けながら聞いた・・・

「万年筆ですか?」

「そう万年筆や、中にインクを入れてペン先が金でだいたい・・・・・」

「万年筆は知ってます!」

「それは随分使い込まれていたわ、前の持ち主の名前が彫金してあったが擦れて読めんかったほどや」

その万年筆はモンブランの古いタイプらしくエボナイトのボディはまだまだ綺麗で師匠曰く、

“高そう”に見えたそうである。

「値段はタダ同然やったわ」

「ラックを探しに入ったんたけど一発で気に入ってしもて買って帰ったんや・・・」

結局書くことは出来なかったが、

でも気に入っていたので毎日手に取って眺めていたそうである。

「こんなことあるんかわからんけど・・・それから身体の調子がおかしくなってな・・・」

それで医者に行って検査したけれど原因がはっきりしない。

「医者は何かのストレスって言うんやけど、医者はええな二言目にはすぐストレスって言いおる」

で、ミッションのオーバーホールが迫っていた2CVに白羽の矢が立ったわけである。

「でもな考えてみたら2CVとの付き合いは20年やろ、原因が2CVならとっくに死んでる」

「かみさんにも言われて古いもの処分したんや、ゴミばっかやけどな」

気に入っていた万年筆も書けないので一緒に燃えないゴミの日に出したそうな。

「何がよかったんか急に調子よくなってな、あんまり古い物よくないんかもしれへんな」

師匠は残りの“エビス プレミアム ブラック”を持って帰っていった。



前にもらった古いペンケースを慌てて・・・

捨てた。



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